裁判の傍聴

昔、学生の頃に裁判を傍聴する機会がありました。

 

「裁判傍聴芸人」なんてのもいるくらいで、多少の興味は持っていたのですが、なかなか自発的に行くことはなかったのでいい機会です。

 

その日の事件は薬物関係。歩いている男性に警官が声をかけたら違法薬物を持っていた、というもの。

弁護側が、逮捕されたときの状況について細かく質問しながら掘り下げます。どこで警官に声をかけられたのか、その日は何のためにそこに行ったのか、家を出てからの足取りを質疑によってはっきりさせていきます。正直、そんなもん事前に調べてあるんだろうとも思いましたが、きっとあの場でやることに意味があるんですよね。

 

質問を重ね、いつどこで、誰といて何をしていたのか、そんなことが明確になったところで、弁護士が聞きます。

「そのときの服装はどのようでしたか」

被告人は、「黒いスウェット、サンダル、麦わら帽子でした」と答えます。

弁護士「なぜ夜なのに麦わら帽子なのですか」

 

えー!!!そんなこと聞くの???

それ、割とどうでもよくない?これを答えると人柄とかが分かるの??それとも、こういう質問にも真摯に答える姿勢が大切なの???

 

あげく、驚いている間に被告人が「ファッションです」と答えます。ファッション……そうだろうよ……ファッション………。

正直言って、もう私、ここで笑いそうでした。いや、顔は笑ってたと思う。なんでみんな普通の顔してるの……。

 

たった一回の傍聴でこんなやり取りに出会うのがラッキーなのか、それとも、思っているほどお堅いだけのものでもないのか。記憶に残る経験でした。